「動き出したな」

「そうですね…」

「…大丈夫か、ルイ」

「ええ…恐らくは」

そんな声で私はぼんやりと目を覚ます。

あれ…あ…。

そう言えば、あのまま寝ちゃったんだっけ私…。

皆はちゃんと寝たのかな…?

ゆっくりと起き上がって目元を擦っていると不意に頭上から声が聞こえる。

「起きたか」

それは既に起床して身なりを整え終わったであろうシキの姿だった。

私を見下ろすその眼差しは何処か焦っているようにも見える。

「うん…どうかしたの?」

「…ああ。城の奴等が動き出してるらしいな…痺れを切らしたか」

寝惚けていた頭を左右に数回振って覚醒させる。

痺れを切らしたって…まだ3日目になってないんじゃ?
いや、そもそも王様が3日も待ってくれるかどうかすら、不安だ。

「休む暇が無くて悪いけど、行こうかユイちゃん」

そう言って私達がここに居た形跡を無くすためかユエは足で焚き火をした跡を揉み消すように広げた。