「なあなあ、知ってるか?」

「なんだよー」

「あの宮殿の地下にすごい精霊が居るって話だよ」

「精霊?いるわけ無いだろ、精霊も妖精もおとぎ話だろ」

「それが居るんだって!俺も会ってみたいなあ」

…ふと、そんな会話が聞こえてくる。

若い男二人が何やら興味深そうに話すその姿に私だけではなく、皆視線を向けていた。

妖精…精霊…この街にもそんな噂はあるんだなぁ…。

あの宮殿と呼ばれた方へと顔を向けるとそこには、一際目立つ大きな建物があった。

…確かにあれは誰がどう見ても宮殿と呼ぶに相応しい城だよね。

…お姫様とか王子様とか、居そうな。

女の子なら誰でも一度は夢見るお姫様。

私も、なってみたい。
なれっこないけど、お姫様も悪くなさそう…とか。

「おい。俺達の次の目的は"その精霊とやらに会う"事にする」

と、シキが突拍子の無い事を言い出す。