魔界姫志ーまかいきしー



ーー殺される!!

私はそう思って目を両手で塞いだ。

が、私の考えとは裏腹に剣と剣が交わる音だけが響いた。



カキンッー…ガンッ…!!

そんな音と

ザシュッー…グサッ…!!

肉の裂ける音と

ツンと鼻をかすめる鉄の匂い。


…ああ、この人達は斬り合いをしてるんだ、と。

このままじゃ私も殺されかねない、と。

そう思っているのに体は硬直したように動かない。

私は目だけを塞いだまま、その音を聞いて必死で声を出さないように唇を噛み締めた。