声を掛けても何の反応もしないユエに心配になった私は駆け寄ろうとした。
「…大丈夫だよ」
そんなユエの声が聞こえる。
強風で目も開けてられないのに大丈夫な訳が無いんだけど…
ユエの言葉を信じて私は固く目を閉じたまま強風が収まるのをひたすら待った。
少ししてから何事も無かったかのように舞っていた葉っぱも風もなくなっていて。
元通りの宝石が光る洞窟だった。
さっきのは一体…?
「ユエ、大丈夫か」
「俺は大丈夫だよ…何だか力が湧いてくる様な感覚はするけどね」
《其方のお供に私の力を授けた。
これから先、役に立つでしょう…》
緑深き結晶が最後にそう呟けば
たちまち深い緑色をしていた結晶が灰色へと変色していく。

