「今から俺が話す事は独り言だから」

「…うん?」

「ユイちゃんはその独り言をたまたま聞いてしまっただけ」

「…うん…」

ふぅ、と一つ深呼吸をするユエを横目で見ても やっぱり苦しそうな表情をしていて。

『聞かなければ良かった』という後悔の波が押し寄せてくる。

「俺にはね、とても大切な人が…居たんだ。
でも その大切な人はこの国の姫様が殺してしまった。

この国の姫様は我が儘で自分が中心に回っていないと気が済まない人でね?

それでも彼女は唯一自分より優先したいと思った人物がいるらしい。

それが遠い国の王様だった。
王様のためなら自分を後回しに考えれて彼中心になった。

でも、その王様には好きな人がいた。
それが姫様の妹だったんだ」

ユエが淡々と表情を変えずに話す。
話す前の苦しそうな顔じゃなくて今は、もう無心に近い状態で。

…その話とユエの大切な人…多分、美咲さんとの関係は…?