そっか。
私記憶ないんだった…。
もしかすれば昔はこれぐらいあったのかも知れない。
「キミが白髪のオッドアイだと気付かれれば襲われる可能性が高まるからね」
…白髪?
オッドアイ!?
辺りを見て地面に溜まっている水溜りに目をやる。
そこには緩くカールのかかった白髪の私がいて。
左右の眼が対象な私がいて。
左眼が黄色で右眼が碧の私がいて。
何から何まで驚きを隠せなかった。
さすがに元々、この姿ではないということに気付くのに時間はかからなかった。
…魔界に居るから、なのかな。
「とりあえずフードでも被っててよ」
「うん…ありがとう、ロイ」
「へっ?何がさ?」
きょとんとした顔で見つめられる。
「何も知らない、敵かもしれない私に優しくしてくれて。」
そう言えばロイは少し照れたように微笑んだ。
それがまた、可愛くて私も一緒に微笑む。
と、その時ーー!!
「くっそ、あの野郎…どこ行きやがった」
そんな声が聞こえてくる。

