馬 白馬 駆け抜ける・・・。

その少女は、白馬にのりたがった。

軽やかに、しなやかに馬を乗りこなしていた。

「兄上、私でも馬上ならば負けませんわ。」
遠くに、白銀の獅子の兜を被った武者が一人いた・・・。

馬超ー字は孟起というその男は苦笑いしていた。


『真由のやつ・・・。馬に乗ってる時だけは強気だな・・・。』

彼女の名は、馬 真由

中国は西域に近い、西涼地方の領主であり、群雄の一人、馬騰の末娘であった。

長兄馬超とは二回りくらい違うまだ10歳の子供であった。

父馬騰は漢族と羌族の混血であったので、彼女も何処と無く、異国の雰囲気もある目鼻立ちのはっきりした少女であった・・・。

しかし、事件は突然来た。父馬騰が当時の最高権力者曹操に都に招聘されたが、反乱を企てたかどで、次兄馬休、三男の馬鉄とともに捕まり処刑されてしまったのだ。

そこで彼女は西涼に残っていた長兄であった馬超と従兄弟ではあるがもう27にもなり、命からがら都から脱出して来た馬岱に育てられることになるのである・・・。

父の処刑を知った馬超は馬岱や家臣ら、父の義兄弟でもあった韓遂とともに本当に反乱を起こした。

しかし、韓遂の裏切りもあり、敗北。彼は、張魯というやはり群雄の一人の居候になっていたが、邪魔扱いされたこともあり、結局当時四川地方を領有していた劉備の元へ下ることになる。

蜀の国を起こしていた劉備は当時は日の出の勢いであったが、豪傑の誉れ高い馬超の配下への加入は喜んで迎えた。

真由も当然、馬超について蜀に入ることになる。そんな頃、彼女は運命的な人に出会う・・・。

劉備の義弟、関羽の息子、関興であった。

彼女は、関興に密かな恋心を抱いていた。しかしながら、彼女は花嫁修行もかねて、宮廷に女官としてあがることになり、離ればなれの時が多くなった・・・。真由が18の時であった・・・。

数年後劉備が死に、息子の劉禅が即位した。まだ15歳であった・・・。

そんな頃の話である。