お昼前。突然蓮が話しかけてきた。

「美歌、今日は好きな人教えてくれる?」

「え、うーん…。いいよ」

「お、マジで?誰?」

そんな上目遣いで見つめないでよ。

ほっぺ赤くなっちゃうじゃん。

「焦らさないで言えよー。俺この後用事あるんだから」

「じゃ、じゃあいいよ後で」

「だーめ。今聞きたいの」

「えぇー」

「はーやく」

どうしよう。今がチャンスだよね。確実に。

言うしかない。

「あ、あのね…。私が好きな人は」

「うん」

「本当は。その…。蓮のことが好き」

言っちゃった。どうしよう。

蓮、今どんな顔してる?

「そっか…。ありがとう」

見上げると蓮は少し戸惑うような表情だった。

「今は気持ちだけ受け取っとく」

「うん」

何だか意味深な言葉に、私は頷くことしかできなかった。