ー奎sideー

美歌が相談があるといったと思ったら、それは好きな人ができたという報告だった。

しかも彼女がいる蓮を好きだなんて。

俺は小さい時から美歌のことが好きだ。

それなのに、よりによって蓮が好きだなんて。

あいつは男の俺から見ても、性格も外見も良いし、ノリもいい。

男女問わず人気があって、彼女だって、学校一美少女だと言われてる。

俺なんか、勝ち目があるわけない。

当然、美歌だって、好きになってもらえる可能性は少ない。

「あぁー……もう」

部屋のベッドに寝転がりながらため息を吐いた。

今日のハンバーグは格別にうまかったな。

美歌は、俺が気づいてないと思ってるけど、ハンバーグは、俺が美歌に何かしてやった時の、ご褒美のようなものとしているらしい。

昔から俺はハンバーグが大好物だからな。

「俺はずっと前から、お前の事が好きなんだよ。気づけよバーカ……」

美歌に伝えることのできない気持ち。

きっとこれからも伝えることはできないんだろうな。

誰もいないところでそっとつぶやいた。

「幼馴染みだからって甘えすぎてたかな……」

いくら生まれた時からの仲だからといって、実際に話したのは小5の時だ。

年月は少ししか経っていなかったのだから、もう少し注意するべきだったんだ。

美歌は経験豊富な割に意外と一途だ。

今までに何人か彼氏がいたけど、一途すぎて別れることも多々あった。

だからこそ、美歌をちゃんと支えられる男になるために、俺はここ数年ずっと努力してきた。

中学ではサッカー部に入って、三年生が引退した今では、キャプテンを務めているし、外見だってそれなりにみがいた。

美歌の好みの男になるために頑張ったんだ。

「なーんでかなぁー……」

こんなに頑張ったのに、美歌は俺の方を向いてくれなかった。

「悩んでても仕方ない。………寝よう。」

俺は一旦考えるのをやめ、眠りにつくことにした。