土方に言われるがまま屯所を出て、あとをついて行った
少し歩くと大きな道に出たが、土方の隣を歩くには恐れ多く、一歩後ろを歩いていた
それに気づいたのか、土方が歩くスピードを緩める
「速かったか?」
「い、いいえ……すみません」
そしてそのまま隣を歩いた
沖田や斎藤とは並んで歩いても何もなかったが、土方と並ぶとやけに緊張した
このどちらも口を開かない、静かな空間がはじめは落ち着かなかったが
少したつと、心地よいものに変わっていた
迷うことなく、恐らく最短距離であろう道のりを歩く姿はいかにも土方らしかった
「ちょとここで待ってろ」
買いたいものは全て揃ったはずなのに、土方にそう言われ、華蓮はそのままそこに立っていた
しばらくして戻ってきた土方の手には丸いものが握られていて、華蓮はそれを手渡された
「饅頭だ、やるよ」
──どういうこと!?
あの鬼の副長が、饅頭を人に買ってくるなど、何かあったのだろうか?
なんていう永倉と同じようなツッコミが頭に浮かぶ