すると永倉は、表情を変えないまま斎藤を見て言った
「お前の言うとおり、斎藤は竹刀の先を当てられる瞬間を狙ってたんだよ
それがお前を怪我させずに勝てる一番いい方法だからな
だが、お前はその先を読んだ
それで斎藤が本気を出したわけだが、俺も冷や汗をかいたぜ」
たしかに、華蓮の竹刀を弾き飛ばせば、竹刀をぶつけ合うこともなく、勝敗は決まるだろう
そこまで考えたわけでもなかったが、斎藤の予想範囲を越えたのだ
それは素直に嬉しかった
「斎藤さん………その、大丈夫ですか?
なんだか剣術ではない戦法でやってしまってすみません…………」
しかしそんな斎藤の配慮など、華蓮が知るはずもなく、腹部に竹刀の柄を思いっきりおみまいしてしまったのだ
失礼極まりない
「気にしなくていい、むしろ、よい判断だった
筋は悪くないと思う」
華蓮は斎藤が笑うのをはじめて見た
「本当ですか!?」
思いがけない言葉に胸が弾む
「あぁ、俺も見ていたが、かなりいい腕になると思うぞ!!
それに斎藤のお墨付きなら間違いない」
斎藤も永倉も新撰組を代表する武士だ
そんな二人に筋がいいと言われて、嬉しくないわけがない
「そうですか……それはよかったです」
「いづれ、総司と手合わせをしてみるといい
案外面白いかもしれない」
「え…………沖田さん、ですか?」
華蓮の脳裏に昨日の沖田さんの姿が蘇る
