「そちらが来ないのなら、こちらから行くぞ」
斎藤はそう言い放ち、一気に華蓮との距離をつめる
──カンッ
間一髪、華蓮は自分の竹刀で受け止めた
────速いっ!!
その後間もおかず繰り出される攻撃に対して華蓮は防戦一方になってしまう
───蓮の奴、斎藤の一撃を交わしただけでなく、その後も防戦ではあるが、斎藤の剣裁きを見切っている……!?
普通の隊士でも避けきれる奴はなかなかいないんだがな───
永倉は薄笑いを浮かべた
──カンッ
──ダンッ
手を抜く、とは言っていたが、抜いていてこのレベルなのか────
華蓮は斎藤の恐ろしさを目の当たりにしていた
かといって、このまま防戦一方というわけにもいかない
どこかで、攻めなければ、負けてしまう
頭の中で打開策を考えていた
華蓮はちゃんと剣術を習ったことはない
頼れるのは自分の勘と、相手の動きを捉える目、それから反射神経だけだ
それならば、自分の持てるものに可能性をかける───!!!
しばらく、打ち合いが続き、華蓮が斎藤の竹刀に目なれした
───さて、反撃します!!
一瞬で体制を立て直し、竹刀を前に突き出す─────と見せかけて、床を強く蹴り、斎藤の上を高く飛ぶ
いつの間にか集まってきていた見物客は、おぉぉと声をあげた
斎藤の後ろに着地し、即座に足払い
華蓮は刀での戦い方は知らない
だから、一番相手に通用する攻撃をすぐに頭の中で考える
斎藤から振り下ろされる一撃をかわし、お互いに切り込もうとするところを、華蓮はしゃがみこんで、振り向きざま、竹刀の柄で腹部に強烈な打撃を与えた
「うっ………」
ごめんなさい、斎藤さん………────華蓮は心の中で謝る