その日の夜は、なんだか騒がしい気がした
だけど屯所内は静かで、疑問に思った華蓮は土方に尋ねた
「あの、土方さん
みなさんはどこかにでかけていらっしゃるのですか……?」
「あ?」
仕事をしていたであろう土方はめんどくさそうに華蓮の方を向いた
「外は騒がしいのに、屯所内がやけに静かだなと思いまして」
二週間も経てば土方のこの表情にも慣れた
彼は面倒くさいとかそういうのではなく、単に元々こういう表情をしてしまう癖があるだけなのだ
恐らく、生まれつきではなく、癖がついた、という表現の方が正しいと思うが──
「あぁ、それか
そう言えば今日と明日は街の祭りだったな
って言っても、あいつらは祭りなんかじゃなく、そこらで酒を飲んでいるだけだろうがな」
なるほど、だから街の方が賑やかなのか───華蓮は納得した
────祭り、か
「土方さんは行かないんですか?」
華蓮は思わず口にしていた