言いたいことを言い切った華蓮は、二人の表情を伺う





少しの沈黙があり、それを破ったのは沖田だった






「ぷっはははっ」






沖田は急に笑い出したのだ





「お、沖田さん!!
私はふざけて言っているのではありません!!!」





華蓮は沖田に馬鹿にされているのだと感じた





「あ、すみません、そうでなくて……
やっぱり、蓮さんは不思議な人ですね」





素直に謝られ、冷静になった華蓮は沖田の言葉の意味が気になった






「それは…………どういう……?」





「いえ、普通の女子であれば、今頃逃げ出しているのが当然です


なのにあなたは、刀を取るどころか、ここを守ると言う………


ここまで言われてしまったら、これは僕たちの完敗でしょう、ね、土方さん?」






沖田は笑顔を崩さず、土方を見る





土方は少し考えた後に口を開いた






「女にここまで言わせて、否定することなんてできねぇな


ただし、逃げ出したり、途中で止めたりは許さねえからな


その辺は覚悟しろよ」





意外にも、土方は優しかった





「はいっ!!ありがとうございます」





華蓮は素直に喜んだ






「それならそうと、教える奴が必要だが……お前は左利きだったよな?」




そう、華蓮は幼いころから左利きで、作法以外のスポーツなんかは左でやることがほとんどだった





「はい、そうですが……?」





そう答えると、二人は困ったように顔を見合わせていた





「そうなると、やはりあいつか……」






「ですよね、華蓮さんが無事であるといいのですが…………」





「俺はお前も十分厳しいと思うがな」





「嫌だな、鬼じゃない分、土方さんには負けますよ」






「総司いぃぃぃ!!」






このとき二人で話している内容が華蓮にわかるのはもう少し先のことになる