神風の如く





「うぅ、結局もうわかっちゃってるんじゃないですか………」



隣を見れば山南も穏やかな顔をしている



山南と土方は新撰組の頭脳だ、もうすでにわかってしまっているのだろう




「蓮君、すまないんだが、わかっているのは歳と山南君だけのようだ……」



近藤はたまらず苦笑いだ




「えっと………相手の動きを待つのでもなく、こちらから奇襲攻撃をかけるのでもなく、種をまくんです」



『種をまく!?』




「池田屋で捕らえた長州藩士がいますよね
その人たちを使います


たとえ敵だろうと何だろうと命を助けてもらったことに変わりはないはずです
そこに漬け込んで話をします

そして、選ばせるんです
新撰組に入らせるか、ここから逃げ帰って長州に報告するのか」



「えっ、それは捕らえた者たちを逃がすということですか?」



声を上あげたのは沖田



会議ではめったに彼の声を聞かないが、こればかりは驚いたのだろう



「いえ、タダでは逃がしませんよ
そこは言葉を使うんです

彼らも人間ですから、命を助けてもらった恩義は感じているはずです
そこで私がいろいろいって、まあ、いいところ半分くらい残るはずです

残りは長州へ帰るとは思いますが、そこも狙い目
敵を助けて逃がすなんて、どんな考えの奴がいるのかと様子を伺いに来るでしょう、そしてなかなか手は出せません

長州藩はまだそこまで力がありませんからね……

会津藩に逃がしたとバレれば、お咎めなしは免れないと思うので、会津藩にはこれは作戦で密偵を送ったと言えばいい

私の白札を使えばそれも嘘にはなりませんしね」



華蓮があまりにもアッサリと言うので、近藤も感心することしかできなかった



「つまり、今回は新撰組に出だしはさせないように、防壁の種をまくのが目的です

そしてそれが育つ間に次の手を打ちます」



「はぁ~………いやぁ、完敗だよ
君のご両親はいったい君にどんな教育をしてたんだい?」



近藤は首の後ろに手を当てた



「あ、言ってませんでした……
私の家は日本でも有数の財閥──政治にも手を出せるような……今でいう裕福な家で……

小さなころから政治には興味があったんです」



家を継ぐことはないだろうとは思っていたが、政治経済を学ぶことは楽しかった



それが、こんなところで役に立つとは思いもしなかったが………