それから各々準備を始め、華蓮は古株と一緒にいた
──言うなら、今しかないのに
そう何度も思うのに
ものすごく深い闇に引っ張られて行きそうで、目の前が真っ暗になりそうな恐怖に耐えていた
「れーんさんっ」
いつものように沖田が話しかけてくるかと思えば、急に組長の顔になる
「大丈夫ですよ、仮に池田屋だったとしても、峰打ちや体術で戦闘不能にして下さい
トドメを刺すのは僕がやります」
きっと華蓮が人を殺すことを躊躇っていると思っているのだろう
それも間違ってはいないが……
「はい、ありがとうございます」
不安は別の部分にあった
「なんだよ、蓮
いつもの笑顔はどうした?」
「そうそう、こういう時こそ笑っとけよ」
「蓮が変だとなんか調子出ねぇ」
永倉、原田、藤堂にも心配されてしまった
──そうだ、ここで不安がっているところを見せてはいけない
例え、池田屋が本命とは言えなくても、みんなの怪我を防ぐくらいはできる
華蓮はスッと立ち上がった
「みなさん、私の言うことをよく聞いて下さい」
顔色の変わった華蓮に一斉に視線が集まる
「まず、平助君は絶対に鉢金をはずさないで」
そう言って藤堂の鉢金を強く結ぶ
史実では油断して鉢金を取ったところを斬られてしまうのだ
「わ、わかった」
「次に永倉さん
親指の付け根に注意して下さい
何があっても気を取られてはダメです」
永倉は藤堂を庇って親指をパックリ斬られてしまうはずだ
「おう……」
