しばらく間を置いても何も答えない華蓮に土方が痺れを切らした
「何も答えられない、ということは長州の間者か?」
は、え…………?
患者───────?
ここは幕末、だが華蓮は未来人である
華蓮が間者、という言葉を普段使うわけがない
「いえ、私は病気ではありません」
大真面目に答えたつもりだった
「ふざけてんのか、てめぇ!!!」
それが土方を怒鳴らせた理由など知る由もない
ただ、この日から土方は華蓮に、短気で、しかめっ面の鬼というレッテルを貼られることとなる
「患者じゃなくて、長州の密偵か?って聞いてんだよ!!!」
──あ、間者か、そういうことか
華蓮はやっと土方の言っている意味に気づいた
長州というのはこの時代、江戸幕府を倒そうとする尊皇攘夷派の勢力
対して、壬生浪士組は幕府のために戦おうとしている組織だ
長州の間者だなんて誤解されたら、すぐさま殺されるだろう
