自分への罵りや、侮辱ならいくら言われてもかまわなかった



だが、土方をはじめ、幹部たちの悪口を言うのだけは華蓮も我慢ならない



──ドス、ドス



わかりやすく足音を立てて近づいた




「なんだ、てめぇ」



コソコソと話していた5人がこぞって華蓮を睨みつける



「私への悪口はいっこうに構わない

だが、副長や組長たちまで侮辱すると言うのなら、正々堂々と勝負しろ」



隊士たちは華蓮が女であることなどもちろん知らない



女だと気づかれないためか、気が立っていたからか、口調は普段とは違うものとなり、まるで別人だった




「おい、蓮!
まずいってば!!」



局中法度には私事で争ってはならないというのがある



それを破れば切腹であるから藤堂は心配しているのだ



「大丈夫です、手を出さないで下さい

私だってみなさんを侮辱されて黙っていられるほど腰抜けじゃありません


ただ、局中法度を破るのはまずいので、稽古の一環として試合、というふうにしましょう」




華蓮はもう一度、男たちの方に振り返る




「私は我流だから、5人いっぺんにかかってきて構わない

さあ、どうする?、やるか?」




「はっ……弱い奴がしゃしゃり出やがって

いいぜ、やってやるよ」



こうして華蓮は彼らを黙らせるため、試合をすることになった











「おいおい、怪我の手当ての用意した方がいいんじゃねぇか?」



「あ、あぁ……あんなに怒ってる蓮は初めて見たよ

新八っさん、何かあったらすぐに止めないと………」



華蓮の実力をよく知っている永倉、藤堂と一番隊の隊士は大事になりやしないかとソワソワしていた



「いや、あれはどうやっても止めらんねえだろ」



「やっぱり……?俺もそう思う」





そんな心配をよそに、華蓮は今日ばかりは許せない、と気合いを入れていた