神風の如く





しばらくして、沖田と斉藤、山崎が部屋に入ってきた



「よく似合ってますよ」



華蓮を見て第一声をあげたのは沖田



斉藤は顔を赤らめ、山崎は無表情だ



「一君もなにか言ったらどうですか?」



「………綺麗だ」




─────!!



普段あまり無駄口を叩かない斎藤の一言にはこの場にいた全員が驚いた




「そ、そうですか……?
これで本当に大丈夫なんでしょうか……」



華蓮はまだ不安だった



「心配することなんて一つもないですよ
どこからどう見ても島原の芸子です


しかし……土方さんを差し置いて僕たちが蓮さんの着物姿見ちゃっていいんですかねぇ………」



沖田は顎に手を当ててニヤニヤと笑う



「どっ、どうしてそこで土方さんが出てくるんですかっ!?」




──こんな姿見られるなんて恥ずかしい

きっと似合ってないもの………








「湊上、言葉は芸子と同じように話せ
それから、こちらから聞き出さずとも話に耳を傾けるだけで十分だ」



山崎は会話など気にせず、真剣な表情で華蓮に指示した



「は、はい」



「俺たちは別室で待機している
何かあればすぐに逃げろ」



「まあ、僕と一君に観察方の山崎君がいますし、心配しなくて平気ですよ」




「よろしくお願いしますっ」




そう言い残し、斎藤と沖田は出て行った









「湊上」



山崎の方に振り向くと、小さな刀を渡された



「普段のはどうせ持ってきていないだろう、この小刀を仕込んでおけ」



「はい」



華蓮はそれを着物の合わせから懐に入れた




「それから、今のお前の名は華(はな)、だ」



島原の女たちはみんな本名ではなく、源氏名のような別名を持つ



華蓮の一文字を取ってくれたことが山崎の配慮かと思うと嬉しくなった




「わかりました、では行って参ります」



華蓮は教わったことを思い出すかのように、上品に襖を開けると山崎にニコリと笑いかけ出て行った







──何事もないといいのだが



潜入するのは副長である土方の恋仲なのだ



もしも、なんてことは絶対に起こしてはいけない



山崎は気合いを入れ直し、屋根裏へと消えた