屯所から戻ってくると、何やら慌ただしい雰囲気が漂っていた
「何かあったんでしょうか?」
「さぁ………まあ、みんなに聞けばわかりますよ」
沖田はポーカーフェイスを全く崩さない
──そう言えば、こういう人だった
辺りを見回すと華蓮はそわそわしている永倉を見つけた
「永倉さん、何かあったんですか?」
「おっ、おぉ、蓮か……総司も…
二人ともちょうど探してたんだが……ちょっと来てくれ」
永倉の様子がおかしい
「新八さん、どうしてそんなに動揺してるんですか?」
沖田も永倉の様子に気づいたらしい
「いや、詳しくはみんなから聞いてくれ
言っておくが、俺は反対だからな!!」
──何が?
さっぱりわからない二人もとりあえず、幹部の集まる広間へと足を運んだ
「失礼します、湊上です」
「あ、あぁ、入れ」
この返事……土方まで様子がおかしい
華蓮は不安になりながら、部屋に入った
「あれ、土方さんまで慌ててどうしたんですか~?」
「総司、いいからお前も座れ」
「はいはい」
こんなときまでふざけていられる沖田が羨ましいと思う
でも、文久三年の十二月に何か大きな事件はなかったと…………
華蓮は自分の記憶を探っていた
だが、部屋には局長、総長をはじめとした古株が揃っている
これはただ事ではない
土方が重そうに口を開く
「山崎からの情報でな、新撰組を名乗って辻斬りしてる奴らが島原に潜伏しているとわかった」
──し、島原?
どこかの土地の名前だろうか
「どうやらついに屯所襲撃を企てているらしい」
「ったくよ、俺らもナメられたもんだぜ」
「全くだ、ったくめんどくせぇ」
ぼそっとぼやく原田と永倉
でも屯所襲撃が本当なら黙っているわけにはいかない