坂本の案でこの話はとりあえずここにいた三人の胸の内に秘めておくことになった
確かにこんなことを話していたと知られてしまったら間違いなく切腹だ
「すまんな、華蓮
おまんのような女子が背負うには重すぎる話じゃき………」
「大丈夫です、バレない自信はあります」
幼いころから他人の──特に大人の顔色をうかがって生きてきた人間だ
それくらいの嘘はどうってことない、華蓮は自分に言い聞かせた
「それに、言ったでしょう?
私、教科書で見たときから坂本龍馬は嫌いじゃないんです」
何故か、惹かれるものがあった
あくどい策士だったわけでもなく、裏の顔があったわけでもない
ただ、純粋に日本を変えようとしたこの男は、華蓮にとって一番遠い存在で、憧れなのかもしれない
自分の思うままに、何にも折れずに生き日本に貢献した、その姿が…
「きょうかしょ……?
まあ、いいぜよ
華蓮、おまんの成すべきこと……少しは見えたじゃき?」
私の成すべきこと────生きる道
それは──────
見守り、一緒に背負うことだ
あくまでも、今はまだ、ということ
この先どうなるか、わからない
今のところは史実通りだが、華蓮の行動次第では変わってくる
そして華蓮はまだ、過去と未来を選べない
だから、その姿を見守り、背負えるものは同じように背負う
その中で、自分のやるべきことを見つけながら行動していく
今はまだ、それだけしかできない
「……はい、もう迷っていません」
いつか、自分の運命を決めるとき、果たして自分はどちらを選ぶのだろうか
戦う覚悟はできるだろうか
守りたいものを守り抜けるだろうか
窓の外を見やると今日は晴天で
華蓮はそう遠くない未来に想いをはせた
