史実通りであれば、あと一週間後に芹沢が暗殺される、というある日




華蓮は何故か芹沢に呼び出され、前川邸に足を運んでいた




芹沢の右腕である新見に連れられて、一番奥の部屋に入った




「よく来たな、湊上蓮」




中にいたのは、前見たときより穏やかな芹沢と、それを愛おしそうに見つめるお梅




「はい、何の御用でしょうか?」




不本意とはいえ、芹沢も局長である




礼儀はきちんとしなくてはならない





「ははは……そんなに畏まるでない
今日はお主と話がしたくて呼んだだけだ」




初めはお梅にそばに寄られて、嬉しそうであったが、言っている言葉と共に芹沢の表情が変わる




「お話、とは………?」




正直、いい予感はしなかった











そして、華蓮は思いもしないことを耳にすることになる






「のう、儂はあとどれくらい生きられる?」





────────………





すぐに答えることなどできなかった




嘘をつけばよかったのだが、芹沢はもう自分が引き際であるとわかっているかのような目をしていた




それを見て、華蓮も言葉を飲み込んだ





「どうしてそんなことを聞くのですか?」




芹沢は華蓮が未来から来ていることなど知らないはずだ




「……理由などない
ただ、お主は知っているような気がしたからだ」




そう言われては、華蓮も答えることができない










「答えられない、か…………
まあ、いい
だがお主に頼みたいことがある」




──頼みたいこと?




お梅のことか、芹沢自身のことか───




華蓮はゴクリと息をのんだ