それが今、やっとわかった
昔、両親の馴れ初め話を聞いたことがある
そのとき二人が言っていた気持ちと同じ
触れると温かくて
離れると胸が締め付けられるみたいに苦しくて
その人を想うと嬉しいようで切なくて
これは───────恋
私は土方さんが好きなんだ──────
自覚すると、今までの行動や発言が恥ずかしくなる
なんてことを言ってしまったのか
「あ、あの、今のは何でもって、え?」
慌てて撤回しようと後ろを振り向こうとすると、土方が華蓮を後ろから抱き締めた
「ひ、土方さん!?」
彼を好きだと気づいた今は、前よりもずっと胸がどきどきする
顔も真っ赤だ
「そんな顔させて、なかったことになんてできるかよ
蓮……、俺なんかで…いいのか?」
華蓮を抱き締める腕が強くなる
「俺は武士だから、必ず帰ってこられる保証はねぇ
それに…………この通り、口下手だ」
少し後ろを見ると顔を赤くした土方と目が合う
華蓮には、その言葉と、その表情だけで十分であった
「ふふっ………自覚、あったんですね
さっきやっと気づけたんですけど……
私、土方さんじゃなければ嫌です
抱きしめられるのも、キス、されるのも」