沖田が乗り出し、土方の胸ぐらを掴んでいた
「何考えてるんですか!!」
「僕たちは遠慮なく使ってもらっていいですけど、蓮さんは違うんですよ!!」
それは────違う
土方は華蓮を使ったわけじゃない
土方は守ろうとしてくれていたのに、華蓮がそれを拒んだのだ
「ああ、俺が悪いんだ」
言い訳も言わずに同じ事を繰り返す土方に沖田が遂に腕をあげた
「少しくらい、言い訳してくださいよっ!」
沖田が右の拳を振り下ろした
誰もが、沖田が土方を殴る────そう思った
──パシッ
それを止めたのは、そこにいる全員にとって意外な人物
「いい加減にしてください」
華蓮であった
「沖田さん、私が何の為に刀を持ったと思ってるんですか?
自分の身を、ここ壬生浪士組を守るためです
そのために刀を下ろしたまで
それから土方さん、勝手に全部自分のせいにしないで下さい
私は自分の意志でここにいるのですから
さあ、二人にしてあげますから、さっさと仲直りしちゃって下さい
近藤さん、みなさん行きますよ」
華蓮はそう言い残し、スタスタと部屋を出る
それに続いて、土方と沖田以外の全員がその場を後にした
そして、幹部たちは改めて華蓮の恐ろしさを身を持って知ったのである