土方を守ることができた───それは嬉しいはずなのに、どうしてかもどかしい





こんなにもやりきれない





拳を握りしめた






視界が曇っていくのがわかったが、華蓮は抑えようとしていた






「俺の……せいだな
ちゃんと気づいていれば、お前に人を斬らせずにすんだのに………」





いつの間にか横に立っていた土方に気づき、華蓮は俯いたまま、首を振る






違う、これは華蓮が選んだ道だ





誰が悪いとか、そういうのはない









───────…………





「無理、しなくていい
泣きたいなら泣け
誰もお前を弱いとは思わない」





華蓮は土方の腕の中にいた





羽織りに付いた血が顔につかないいように、土方が羽織りの中に着ていた着物に頬をあてるようにして





華蓮はすっぽりと収まっていた





「我慢なんかすんじゃねぇ




────俺がここにいてやるから」






もう、限界だった





溢れ出した涙は、止まることなく土方の着物を濡らしてゆく






「…………っ、…………っ」






できることなら命なんて奪いたくはなかった





敵同士だとしても、ひどく恨んでいたわけでもなかった





行き場のないこの気持ちを流し出すかのように泣く