逃げろ、なんて言われても華蓮は逃げる気なんてない
たとえ、自分が足手まといだとしても、土方を置いて行くなんて無理だ
体を張ってでもここにいる
「嫌です、足手まといだったら、私を盾にしてください」
「っ何言ってんだ、てめぇ!」
土方が怒るのも無理はない
それでも華蓮は引かなかった
「元々は土方さんに救って頂いた命です
土方さんのお役に立てるなら……」
──カチャリ
「刀を抜くということは、命をかけるということなのでしょう?
斎藤さんに鍛えられたんです
ただのお荷物になる気はありませんっ!」
華蓮は今、湊上蓮なのだ
蓮は刀を持つ武士だ
ここで引いたら刀を持つ意味も、今まで鍛えた意味も、ここで生きる理由もない
華蓮は刀を自分の前に構えた
「………っは、全く、勇ましいのか、愚かなのか…………
………後悔すんなよ」
土方は軽く笑った
許してくれるのだろうか
隣に立って戦うことを────
「しません、何があっても」
もともと、こうなることを覚悟して刀を持ったのだ
今更後悔などしない
華蓮の横顔は今まで見た中で、一番生き生きとしていたかもしれない
この状況で、その表情………すっかりこちらの世界の人間になってやがる───土方は華蓮を恐ろしく思った
まだ、人を斬ったことはないのに、それを恐れることを知らず、ただ前を見据えていた
「そうか……………
絶対に死ぬんじゃねぇぞ
湊上蓮!!!!」
土方は名前を強調した
それは華蓮を未来から来た少女ではなく、共に戦う仲間として認めた証拠
「はいっ!!!!」
