黒色女子を個人授業

「大城さんこそ、こんな時間に帰社ですか? 忙しそうですね」

もう夜の10時を回っているというのに、こんな時間から帰社して仕事を始めるなんて、正気の沙汰じゃない、とアンチ残業の俺は思うのだが。

大城さん自身もやれやれと肩をすくめながら「こっちも、山田さんに無茶振りされたクチだよ」そういって苦々しく笑った。

なんだか親近感を覚えるな。


なにより、戻ってきた大城さんの隣に天野がいなくて少しホッとした。

こんな時間までつき合わせてたら、ちょっと人間性を疑う。

「……天野は戻らなかったんですね」

俺が彼女のことを話題にあげると、大城さんは、ああ、と思い出したように答えた。

「本人は戻りたがってたけど直帰させたよ。
さすがにこんな時間に付き合わせちゃ可哀想だからね」


その言い回しに少し違和感を覚えた。

いや、言ってることは確かにその通りなんだけど、そもそも可哀想とかいう問題で済ませていいのか? 仕事だろう?

ふと『お気に入り』の話が頭をかすめた。

本当に、特別扱いしてるってことなのか?

聞くなら、今しかない。