黒色女子を個人授業

「ねぇ、天野さん。やっぱその財布変えない?」

空いた椅子の上に置かれた私のバッグから頭を覗かせているボロボロの財布を見つめて、大城さんが言った。


「こんなときに何言ってるんですか」

「だって気になってしょうがないんだもん」

「それ、仕事と全然関係ないです!」

私が冷たく言い放つと「そんなことないよー」と彼。


「天野さんてさ、仕事は細かいところまで気が回るのに、それ以外は無頓着だよね」

大城さんは挑発的に唇の端を上げて、指で銃の形を作ると、私に向けて撃つ仕草をした。

「だめだよー、もっといろんなことを楽しまないと。出世できないよ?」