黒色女子を個人授業

ホテルへ向かう私たちに、今井さんは

「ちょっと寄り道してくるわ。先帰っててくれ」

そう命じると、夜の街へと姿を消した。


彼が消えた方向を眺めながら

「どこに行くのかしら」

私が不思議そうに呟くと

「もしかして、今井さん、現地妻を漁りに行ったんじゃ……」

滝川くんが悪戯っぽい笑みを浮かべて呟いた。


「あはは、現地妻って」

今井さんに似合わない。思わず私は吹き出す。

「いやいや、わかりませんよ」滝川くんが煽る。

「だって、明らかにネオンの方へ姿を消したじゃないですか」

まさかー。

今井さんに限ってそんな訳ない。

「単にタバコを買いに行っただけじゃないの?」

私の言葉に

「花山さんは今井さんを美化し過ぎですよ」

滝川くんは、わかってないなあというような顔で腕を組んだ。

「ああいう興味のなさそうな人に限って、裏ではいろいろやってたりするもんなんですよ」

自分は全てお見通しだアピールを自慢気に主張しながら、滝川くんはホテルの方へと歩き出した。