黒色女子を個人授業

記念日にはこだわりたいタイプの人なのだろうか? 意外なマメさに思わず私は笑ってしまった。

「いいんですよ、そんなの。
彩香にも言いましたけど、もうこの歳になったら、めでたくなんてないんですから」

今井さんが反論する。

「そういう問題じゃないだろ、誕生日ってもんは――」


私たちが言い合いをしている間に、滝川くんが会計を終えて帰ってきた。

私は今井さんに向けて、口元に人差し指を立てる。

まだまだ若くて何の悩みもない滝川くんには、30歳だなんて聞かれたくない。


「あれ? どうかしました?」

「ううん、なんでもない。行こう」

そういって私は二人を店の外へと促した。