黒色女子を個人授業

「もしもし、彩香?」

『花? 出張お疲れ様』

電話のせいか、いつもより少しトーンの高い彩香の声が聞こえる。

私は正面に座る今井さんにうるさくならないよう、通話口を手で押さえながら話した。

「うん。今、滝川くんと今井さんとご飯食べてたところ。
どうしたの?」

彩香は『邪魔してごめん』と謝りながら、本題を切り出した。

『今日誕生日だったでしょう? おめでとう』


わざわざそれを言いにかけてきたのか。

相変わらず、律儀な子だなと、私は小さく笑みをこぼす。

「ありがとう。でも、もう30だし。全然おめでたくないよ」


今井さんがちらりとこちらに視線をよこした。

ああ、話の内容、聞かれちゃったかな?