黒色女子を個人授業

エレベータを降りて、暗いエントランスを抜け外に出ると、激しいビル風が私の身体を揺らした。

咄嗟に顔を手で覆うも、それは暖かくて優しい春の風。

心地いい。

私は深呼吸をした。

終電まで少し時間がある。

散歩でもしながら帰ろうか。


だが、夜風に乗せて運ばれてきたのは、春の香りだけではなかった。



「またこんな時間まで残業ですか」


懐かしい、あの穏やかな声。


嘘だ。


私は恐る恐る振り返った。