黒色女子を個人授業

「ペットの犬じゃないんですから、やめてくださいよ」

俺が恥ずかしくなって手を振り払おうとすると「そういえばちょっと犬っぽいね」なんて言ってケラケラ笑う。


「……酒井くんも元気出たみたいでよかった」

安心した表情の彼女に、俺は余計に恥ずかしくなって、ビール瓶で顔を隠した。

「……正直、まだあんまり吹っ切れてないんですけど」

「まだ忘れられないの?」

彼女はえっ!? と嫌な顔をした。そんなに引かれるようなことなのだろうか。俺って、やっぱり女々しいのかな。


俺は彼女に失恋したということを打ち明けていた。

話した理由は、なんてことはない、たまたまそのとき近くに居たからというだけだ。

もちろん、相手が誰だなんてことは言わないが。

ひょっとしたら感づいているのかもしれないけれど、何も言わずにいてくれている。


お互い、傷の舐め合いみたいになってしまって申し訳なかったけど

おかげで、苦しい時間を一人で過ごさないで済んだ。