黒色女子を個人授業

私が自社へ戻ると、花が「聞いてよー」と不満そうに駆け寄ってきた。

「今井さん、まだ申請書確認してくれてないのよ!? 早くしてくれないと本当に迷惑なのよね」


今井さんに怒る花の姿は毎度のことで、もう何も感じないほどに慣れてしまった。

基本ずぼらな今井さんは、世話焼きの花からしたら格好の管理対象のようだ。秘書のごとく連れ添っている。

毎日のように聞こえる「ちゃんとしてください!」という花の怒声は、もはや夫婦漫才にしか聞こえず、尻にひかれる今井さんも、満更ではない様子だった。



そんな私と花の後ろから

「お疲れ様」久しぶりに響く穏やかな声。