黒色女子を個人授業

宮間は口元を引きつらせ、明らかに嫌味な口調で言った。

「へぇ。天野さんからそんな風に思われてるんだ。
私は仕事してるだけなのに。まいっちゃうなー」

豹変した彼女の態度に、酒井は戸惑う。

「違います! 天野が言ったわけじゃーー」

「でも現に酒井くんを私のところに差し向けたわけでしょ?
嫌いだな。そうやって男の子利用して守ってもらおうって感じ」

宮間は冷たく突き放すと、酒井には目もくれずエレベーターへ乗り込み、閉まるボタンを押した。


「天野はそんなやつじゃありません」

酒井は慌てて閉まりかけのエレベーターへ滑り込む。

「……どうしたんですか、宮間さん?
以前はそんなこと言う人じゃなかったじゃないですか」

「……私は真面目に仕事してるだけだよ。
私にとっては大事な仕事なの。
あの人たちみたいに、たくさんある仕事の中の一つってわけじゃないの」

目を合わせぬまま、宮間は強い口調で答えた。