黒色女子を個人授業

すると今度は大城の方が怒りをあらわにした。

「だからってこのまま続けさせる訳にはいかないでしょう。天野さんを二度とアイツの前に出したくない」

感情のこもった大城の言葉に、今井は「まあ、気持ちは分かるが……」と不承不承頷いた。

「それにこれから先、クライアントとの関係は悪くなるでしょうから、あまり矢表に立たせたくない」

物騒な物言いに、眉を寄せる今井。

「は? どういうことだよ」

大城はため息交じりに答えた。

「矢追さんをぶっ飛ばして、胸ぐらを掴み上げちゃいました」


予想外だったのだろう。その言葉に今井は一瞬言葉を失って、やがてくっくっと笑い出した。

「お前、よくやったじゃねぇか」

「笑い事じゃありませんよ」

存外嬉しそうな今井に大城は余計に肩を落とす。

「向こうもやましいことがある以上、表立ってクレームはつけられないでしょうが……。
なにしろ去り際に『ただで済むと思なよ!』って叫んでましたからね」

「見事な悪役ぶりだな。恐れ入った」

「天野さんにしろ僕にしろ、どんな嫌がらせを受けるか分かりませんから。
あの人の性格的に」

なるほど、と今井は大きく頷く。

「確かにあいつ、陰湿そうだなあ」