黒色女子を個人授業

「ところで天野さん」

矢追さんがぼそりと呟いた。

ファンの回転する音がうるさくて声がよく聞き取れない。自然と近い距離になる。


「先日、良いお店があるとお話しましたよね?
このあとご一緒にいかがですか」


私はビクッと肩を震わせた。

またそういう話……?


「……申し訳ないのですが、今日はーー」

私が断ろうとすると、矢追さんは私の耳に口元を寄せて「ここだけの話ですがね」と切り出した。

「新ブランドのWebサイトを担当していた会社との契約が急遽白紙になりまして。
慌てて発注先を探しているところなんですよ。
何社か候補が上がっているのですが、私としては是非とも天野さんにお願いしたいと考えておりまして」

突然降って湧いたおいしい話に、私は思わず前のめりになる。

「ほ、ほんとうですか!?」