黒色女子を個人授業

自分のデスクに戻った私を呼び止めたのは、先程まで話題に上がっていた同期の酒井くんだった。

「なぁ、天野。意見聞かせてよ?」

酒井くんは自分のPCのモニター画面を指差しながら、私を招き寄せた。

「ん? なに?」

応じて彼の横へ行ってみると、そこには、あるWebサイトが映し出されていた。

酒井くんは椅子の背もたれに深く寄りかかりながら、モニターを覗き込む私を見上げる。

「サイトリニューアルの件、デザインチームから上がってきたんだけど。これどう思う?」

どう? と問われて、私はそのサイトをざっくりと観察した。


とても繊細で手の込んだデザインだ。

色鮮やかな宝石のオブジェクトが背景で移り変わって、画面トップのレイヤーには光が雪のようにユラユラと揺れて舞い落ちる。

カーソルを動かすと、動線に沿って光の結晶がキラキラと輝く。

「素敵だね」

単純にアートとして考えるなら、見応えのあるデザインだ。

使い勝手を考えなければの話だが。

「その、イメージ処理するのにすごく負荷がかかるでしょ。
開発用のPCならまだしも、一般家庭のPCじゃ画面の読み込みに時間かかり過ぎるんじゃない?」

私の現実的な感想に酒井くんは

「そうだよな!」と嬉しそうに目を輝かせた。