黒色女子を個人授業

***



「お前、今日くらい早く帰ったらどうだ? 可哀想な奴だなぁ」

ひと気の無くなったオフィスで、柄の悪い声が響いた。

「今井さんこそ、今日は帰らなくていいんですか?」

悪態に答えたのは穏やかな声。

「俺はいいんだよ。所帯持ちはイヴよりクリスマス当日が大事なんだ。
今日残業して、明日は定時上がりだ」

「家族サービスですか」

「俺にはサンタになるっていう使命があるからな。
……お前の方こそどうなんだよ、大城。
もう三十路超えたんだから、早く結婚しろよ」

穏やかな声の持ち主ーー大城はクスリと笑った。

「やだなぁ、今井さん。セクハラですよ」

「俺がお前にセクハラしてどうすんだ」

今井はデスクに肘をつきながら、いかにも気だるそうな姿勢で答えた。