黒色女子を個人授業

「そんなことないわよ。
彩香は超真面目人間なんだから、自分の良さをアピールするなら仕事場が一番だと思う」

そういって私の肩に手を置く花。

確かに私の取り柄と言ったら、日々真面目に仕事をこなすことぐらいしか思い当たらないが、だからといって……

「そもそもそんな相手、社内にいないし……」

「贅沢言わなけりゃ、いくらでもいるじゃない」

花は、視線を落とす私の顔を無理やり引き上げて、熱のこもった口調で力説し始めた。

「何も大城さんみたいな高嶺の花を落とせなんて言わないわよ。
例えば、営業の山田さんなんて……ちょっと頼りないけど……優しそうだし。
後輩の岡田くんなんて……ちょっと生意気だけど……しっかりしてるし」

そのちょいちょい付け加える批判が気になるところだ。

「あ! 同期の酒井なんていいんじゃない? あんた仲良かったよね!?」

思いも寄らなかった名前を聞いて、私は少し驚いた。

彼のことを思い浮かべる。

確かに他の男性社員と比べたら仲は良い方なのだがーー

「付き合うとか、そういう関係じゃないもの」

私の回答に、花は不満そうにむくれた。