黒色女子を個人授業

私は慌てて部屋に戻り携帯を手にすると、着信履歴を探した。

「もしもし、今どこですか!?」

『今? マンション出るところだけど』

大城さんの、のほほんとした声が聞こえる。


「……どうして……?」

なんだかいろいろ理解できない。


『どうしてって……熱があったら買い物に行けないかと思って。
食べやすそうなもの適当に買って置いといたから。
良かったら食べて』


置いといたって……

わざわざここまで来て? それだけのために?

私のため……?


何なの? 何考えてるのこの人?

これも仕事のため? 部下へのメンテナンスってやつ?


頭が整理できなくて、上手く言葉を選べないけれど、聞きたいことはたくさんあった。

「それで……置いて……帰るんですか?」

『うん。……女性の部屋に上がり込むわけにもいかないでしょ?』


確かに、上げられるような綺麗な部屋ではないし、スッピンだし、部屋着だし、見せられる顔ではないのだけれど。

でも。

すぐそこにいたのに会えないなんて。