黒色女子を個人授業

指示された通りに修正し、清書した資料を大城さんへメールしたあと、私は帰り支度を整えてオフィスを出た。


今日も風が冷たい。自然と足早になる。

身を縮こませながら歩いていると、背後から声が響いた。


「今日は僕とディナーどう?」


驚いて振り返ると、3メートルほど後ろをゆったりと歩く大城さんが目に入った。

私がオフィスを出るときにはまだ仕事をしていたはずなのに、一体いつの間に追いついてきたのだろう。

彼の歩調はゆっくりしていて、なのに歩幅が大きいせいか早足の私と同じスピードだ。

こういうときに、背が高いと得だなぁと感じる。


大城さんは少し歩を早めて、私と会話できる距離まで近づくと

「昨日、酒井くんとデートしてたでしょ? 店に入るところ見ちゃった」

挑発っぽい笑みを浮かべて私をからかった。

「単にご飯を食べていただけです。
今日はもう遅いので帰ります」

私の冷たい対応に、彼は肩をすくめた。

「いつも僕には素っ気ないのに、酒井くんにだけ優しいなんて、なんだか悔しいな」