黒色女子を個人授業

「忙しいからこそ走るんだよ。忙しくてストレスが溜まるほど、走る爽快感が増すぞ?」

得意げにそう語る酒井くんに、私は、はぁ、と半信半疑で頷く。

仕事で疲れて帰ってきたところにランニング? 余計へとへとになってしまいそうだけれど。

確かに仕事のほとんどがデスクワークだから、体力が余っているのかもしれないが。

それでも私は毎日家に着く頃にはくたくただ。そもそも酒井くんとは体力のつき方が違うのだろう。


「天野も騙されたと思ってやってみ。
仕事ばっかでストレス溜まってるだろ? スッキリするよ」

あまりに爽やかな笑顔で勧められたので、思わず真剣に考えてしまった。

確かに運動不足には危機感を感じている。

これを期に身体を動かすことを考えた方がいいのかもしれない。

ひょっとしたら新たな境地が開けるかも……?