Christmas Eve

……きっと来る、必ず来る!


俺は、祈るような気持ちで念じる。



後、5分。

慌ただしくヒールの音が響く。



息せき切り、頬を火照らせ駆けてきた彼女の姿。

愛おしさが込み上げる。


俺は思わず彼女を抱きしめたくなるが……ここは我慢。


「遅くなッて……」


彼女はすまなさそうに微笑む。


「寒かっただろう」


肩にかかる雪をサッと払い、冷えきった彼女の肩にそっと、コートを掛ける。



「また、傘を忘れたようだね」


彼女は、はにかんだように微笑んだ。



窓の外は雪。

高層ビルの灯りと共に、クリスマス色に彩られた街の灯りが、舞う雪のカーテン越し、しんしんと輝いている。