「あ、言い忘れた。オハヨーさん」


にいっと、子どもみたいな笑顔を見せる翔琉。


「……おはよ」


翔琉の笑顔には、朝からやっぱりきゅんときてしまう。


″あたしのため″も、勿論だけど。


やっぱり、この笑顔が曇るのを見たくないっていうのも、正直な感情なのかもしれない。


翔琉の大好きな『結実ちゃん』には、好きな人がいて。

その人とは両思いで。


その人に、見たこともないような笑顔を向けている、と知ってしまったら……


翔琉は、あたしにすら笑ってくれなくなるんじゃないんだろうか。


あ、やっぱり、あたし、自分本位だ。駄目な子。


「ほらマジで急げって」


「やだ今おしり触んなかった?!」


「触るわけねーじゃん!興味ないわ、そんなツーケー」


「むーかーつーくーーー!!!」


じゃれあいながら、小走り。結構しんどいけど、朝から幸せ。