その事を伝えると、


「……好きな女子のこと、きみまろなんて呼ぶ奴いないでしょーよ……」


ガックリ肩を落とす希美。


ああ、希美もヒロインだなぁ、なんて思う。


うまくいきそうなのに、それに気がつかないんだから。


天然物の長いまつげが、しっかりとカールされて、キリッと主張してくる目を縁取っている。


……いいなぁ。


「いいなぁ、一花は」


「……へ?」


『いいなぁ』のコラボに思わず変な声が出る。


「あたしも欲しかったなー、かっこいい幼なじみ」



そのトーンはまるで「ねーねーシャンプー変えた?」みたいに普通で。