「おっし。んじゃ俺そろそろ帰るわ。現国諦めるー!」


いないときは、常に気にするくせに。


「今度バナナパウンドの借り、返せよー!」


一緒にいると恥ずかしいなんて。


「じゃーなー!こらシカトしてんじゃねーぞ」


……思春期かよ、バカ。


ガサガサと参考書をまとめる翔琉に、ひょこっと顔を出したお姉ちゃんが声をかける。


「来てたのー?あれ、もう帰るのー?」


「そ。一花が俺の勉強邪魔するから」


うふふ、って表現がぴったりの、柔らかい笑い方をするお姉ちゃん。


じゃあな、と何となくあたし達に向かって言い、くるりと向けた翔琉の背中は大きくて。