適当に落ちた紙を課題集に挟んで、急いでドアを開けたけど、そこに翔琉の姿はなくて。



何その逃げ足の速さ、と思いつつ諦めて部屋へと帰るあたし。


お姉ちゃんの部屋からはまだ楽しげな声が漏れてきていて……そりゃあ会話丸聞こえだわ、と改めて思う。


翔琉に

『課題集、あたし書かないからね!ちゃんと取りに来て自分で写してよね!』


とメッセージを入れても全く返事がなくて、最後まで散々なあたしのホワイトデーが終わってしまった。


甘い展開なんて、これっぽっちも期待していなかったけど。