「結実ちゃんにとっての俺は…………まぁ、いいや。遅いからもう寝る。じゃーなーーーー」


「ちょっ……!!」


時計はまだ9時をさしたところ。


絶対もう寝るなんて嘘じゃん……。


止める間もなく、目の前のドアは閉まってしまう。


翔琉が帰っていく足音が聞こえて。


「……あ」


あたしの手には、翔琉の現国の課題集。

やだやだ、まじであたしが書き写すの?!


結実ちゃんの事諸々も気になるけど、とりあえずこれ返さなきゃ。


まだその辺りにいるよね?


「かけ……」


慌てたあたしの手から、滑り落ちる課題集。


バサッ……


落ちた拍子に、課題集からハラリと紙が出てきて。


んもーーーー、と思いつつ 、拾い上げる。

今すぐ追いかければきっと間に合う。