「う……そでしょ」


「ほんとだっつの。お前、声でかいし、結実ちゃんはそうでもないけどなんかよく聞こえた」


……父上母上。
あなた方が、材料費を削減して二階部分をケチって作らせたお陰で、今、あなた方の娘がとんでもない目に遭っておりますよ。


「全部?」


「多分、大体」


いや、そんなわけない。


それでその平常運転、ありえないでしょ。


「博己君のお兄ちゃんから、奪おうとか思わないの?」


ついに、自ら口を出してしまう。


「は?誰を??」


「だから……結実ちゃん、を」


言いたくないけどさ。


「お前何言ってんの?」


……だって。


好きな人が自分を好きだった過去があると聞いたら……そんな気持ちになるんじゃないの?